教育

<学習指導要領>と<ゆとり教育>

1 学習指導要領とは

学習指導要領とは、全国どこの地域で教育を受けても、一定水準の教育を受けられるように文部科学省(旧文部省)が示した教育課程(=カリキュラム)編成基準です。

昭和33年(1958年)の大臣告示から、現在まで11回ほど改訂されています。最新のものは平成29年(2017年)3月に告示されています。

保守的だと考えられる学校教育の現場も、時代の趨勢やニーズに合わせて、変遷があるのです。

(その変遷って役人の仕事をなくさないためじゃないの?というツッコミもできますが…)

教育行政上の施行は年次進行で行いますので、校種や学年によって完全実施の時期は変わってきます。

戦後の学校教育はこの学習指導要領に基づいて行われているタテマエとなっています。皆さんが使用した教科書や、受けた授業内容はすべてこの基準に則って編集され、行われたわけです。

あのつまらない授業も、あのイヤミな教師も、あのクソみたいな校則だらけの学校も、すべてこの学習指導要領にのっとって存在していたというふうに考えるとよいわけです。

2 ゆとり教育とは

ゆとり世代とはある特定の世代の非常識な行動を指したり、能力が低いことを指したりするときなどに揶揄して使われる言葉です。「ゆとり世代」とは「ゆとり教育」を受けた世代のことを示す語句です。

ただし「広義のゆとり教育」と「狭義のゆとり教育」があります。揶揄されて使われる「ゆとり教育」は「狭義のゆとり教育」になります。

広義のゆとり教育と時代背景

実は「ゆとり教育」は国が示した言葉ではありません。

ここで、1980年代から2000年代にかけて告示・施行された学習指導要領について触れます。

1977~78年、1989年、1998~99年で学習指導要領の改訂が行われ、学習内容の削減や精選が行われました。

この3つの学習指導要領の内容で行われた教育は「広義のゆとり教育」と言えます。

実際に1977~78年の改訂では文部省は『ゆとりのある充実した学校生活の実現 =学習負担の適正化』という概要を示しています。

東西冷戦を背景とした技術開発競争を目指した1960年代~70年代とはパラダイムが変わった中での指導要領の改訂です。

この30年強のあいだ、日本では昭和50年代(1975年以降)に高度経済成長が終焉し、科学技術の進展と生活水準の向上・再近代化の徹底・郊外化・家族関係の空洞化・地域社会の空洞化・平成不況等の社会的背景が取り沙汰されました。

削減や精選の背景には「詰め込み教育」と言われる知識量偏重型の学習内容、高度で過密な授業進行による落ちこぼれの発生などに対する批判があったことが挙げられます。

狭義のゆとり教育

さて、ここからは「ゆとり世代」と揶揄される「狭義のゆとり教育」について見ていきます。
「狭義のゆとり教育」とは1998~99年に改訂され、2001年から施行となった学校教育のことを指します。

誕生年度でいうと1987年度~2001年度の間に生まれ、通常の就学年齢で日本の学校教育を受けた人は「狭義のゆとり教育」に基づいたカリキュラムの授業を受けていたということです。

【狭義のゆとり教育のポイント】
・学習内容を3割削減(小中学校)削減された分は高校に移行
・授業時数を削減
・完全学校週5日制の実施
・「総合的な学習の時間」の新設
・情報科、福祉科の新設
・英語の必修化
・「絶対評価」の導入

狭義のゆとり教育の意図したところと、実態

なぜ「ゆとり」は馬鹿にされたか?という点でいえば、上記のポイントにおける「学習内容削減」と「授業時数削減」という点が標的になったと言えます。
ただし「狭義のゆとり教育」における学習指導要領を主導した方たちは「エリート」と「そうではないもの」を分ける意図があったようです。

学力が高く、定着が早い児童・生徒には先の内容をどんどん教えて、飛び級も辞さない。余った時間で社会問題や国際問題の解決法や自分なりのテーマを見つけて、学問を深めていくこと。

学力が低く、学習に苦手意識がある児童・生徒には最低限の水準としての学習指導要領の内容を定着させる。さらに残った時間で、自らの身近な生活に関連した興味がある活動や、地域社会で幸せに生きる方法や、どうやったら素敵な恋愛や友人関係が築けるか模索すること。

ゆとりの時間の中でよりよい世界や社会を目指す人たちを育むという意図があったようです。

しかし、実際の学校現場では末端の教員たちの意識改革が進まず、教育行政の保守的な風土も相まって、設計者の意図通りのカリキュラムは実施できずに終わったというところが実態だと言えます。

狭義のゆとり教育の結果

骨抜きにされた、コンテンツとしての「狭義のゆとり教育」は「OECD生徒の学習到達度調査(PISA)」、「国際数学・理科教育調査 (TIMSS)」の2003年の調査における日本の点数低下によって、批判されました。

結果、「狭義のゆとり教育」の時代よりも授業時間数や学習内容を増やし、学力を高めていく路線に舵を切り替えることになりました。
しかし、後に学者から「狭義のゆとり教育」と「国際学力調査の点数・順位の低下」の因果関係は強くない、というデータが示され、行政は世論に翻弄されたことも浮き彫りになりました。

3 今後まとめていきたいこと

本記事はここで終了させますが、今後次の2点に触れた記事を作成したいと思います。

学習指導要領上の部活動の位置づけ

学校教育カリキュラムの国際比較

本記事は以上となります。


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